2019年01月23日

小野絢子が踊った「Revelation」(平山素子振付) 2015年1月16日 於新国立小劇場


以下は、4年前、2015年1月の公演のレヴューです。

平山素子さんが振り付けた ”Revelation"
新国立バレエDance to the Future で小野絢子が自らの殻を突き破る様な素晴らしいダンスをした。
(2015年1月16日 新国立小劇場)
優れた作品は、ダンサーの中に眠っているものを見事に引き出す。
この作品は、
平山さんが初めて振り付けた(公にしただろう)作品で、
1999年の名古屋での世界バレエ・ダンスコンクールのためのものだった。
彼女はここで優勝して頭角を現した。
その直前に姉が不慮の事故で亡くなった。それが大きなモチベーションになったのだと思う。

ダンスは現実そのものではない。
しかし、現実との身悶えする関わりによって、
自分の身体から絞り出すように、きっとこの作品は生まれたのだと思う。
ダンサーも、必死で振付られた作品を攻め、そこから自分の内にある何かに出会い、それをそれこそからだから絞り出す。
”Revelation”はまさにその字義の如き作品だ。

2006年に平山は、ボリショイのプリンシパル、スヴェトラーナ・ザハロワにこの作品を託す。
小柄な平山(舞台では全然小柄に見えないのだが)とは異なり長身で手足の長いザハロワはこの作品をまた別のものに描き上げ、しかもずっと踊り続けている。

2006年ザハロワ初演の映像「マリス・リエパ・ガラ」(10/31モスクワクレムリン宮殿ホール)
https://www.youtube.com/watch?v=BVc427LCSbs

2008年3月8日「ザハロワ・ガラ」
https://www.youtube.com/watch?v=PxwLwPqBDy0&list=PLobg54P1YodwwOdYvBsMdONbC8QNn1qxQ

2008年9月14日 於アテネ (映像が相当に悪いがそれが却って幻想的)
https://www.youtube.com/watch?v=Jd7_x2wgdk0

この間に彼女は出産を経験している。

2011年 於ベオグラード ちょっと痩せ過ぎているが良いダンス
https://www.youtube.com/watch?v=GMl0uXqkKcU

2013年9月10日 於モスクワ 冒頭がないしオケの前で踊っているのでちょと印象が異なるが、最後の椅子の上に立って椅子を揺らす振りははっきりと分る。
https://www.youtube.com/watch?v=cdluflR_pwo

2014年1月18日
やや上からの綺麗な映像で振りがよく分かるが途中がちょっと切れていて残念。
https://www.youtube.com/watch?v=G62P0giuMdY

平山さんも、欧州の各地で踊り続けてもらえて嬉しいことだろう。
小野絢子の” Revelation ”はもっと鋭角的で、それは平山さんの原振付に近い。だがそれは日本人とロシア人の身体的差異だと思う。
ザハロワは、手足が長いので大きく動く、その分ゆっくりに見える。
(ロシアのクラシックバレエの基本である「ワガノワ・スタイル」も、そのようなスタイルになっている)

小野は冒頭上手前でゆっくりと腕を上げる所で、
その身体の中心が細かく顫動していた。
そこに彼女のモチヴェーションの在処があるかのように。
そして踊り外部への眼差しが、内のその顫動する内部に戻ってくる事で、自らのうちにあるものを感じる。
深い哀しみ。諦め。嘆き。。。
そこに何を見るかは、この小野のダンスを
見るものによっても異なるだろう。
しかし、その何ものかがしっかりと感じ取られる。

強く動き停まり、また強く動く。
それが小野のダンスだった。
だが、その一方で、彼女独特の柔らかさも漂う。
これが身体の個性だ。そしてそれは平山素子には無い個性だ。
小野によって、この作品自体も” Revelation ”された。

最後の椅子でのバランス、
小野はザハロワよりもずっとここにポイントを置き、
ここがクライマックスかのように、徐々に
ちょうど蝶が羽を広げるかの様に美しくそれでいて私にはそれが限りなく哀しく見えた。

静かに音が消え、闇となる中へ
不安定な椅子の上で揺れる小野の姿は、
何かしらの戸惑いさえ感じさせた。
なぜかしらぬが。






posted by 星跡堂主人 at 19:23| 東京 ☀| Comment(0) | 新国立バレエ団 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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