2012年03月24日

梅も桜も、、、彼岸過ぎの雑司が谷


彼岸の入りの朝、
子供の頃からお世話になった母方の叔父が亡くなった。
彼は、私の母がやっていた喫茶店を手伝い、結婚後独立し、
老年になるまで夫婦で喫茶店を営んでいた。

今思い出すと、叔父の存在は両親を中心とした家族の狭い世界を
常に相対化してくれる存在だったと、強く感じる。
私にいつもだめ出しをしてくれる、小うるさく、しかし有り難い人だった。

歌舞伎やミュージカルが好きで
十一代目の襲名には、名古屋から歌舞伎座にかけつけたという。
東濃地方で大きなお菓子問屋の娘だった、叔父の祖母は、
初代時蔵のもとで行儀見習いをしたという。
昔は、そういうこともあったのだろう。
代々の血脈は、私にも伝わる。

電車が好きで雑司が谷に都電を見に来たがっていた叔父、
そんな叔父が春の朝、急逝した。
梅の遅く咲いた今春、梅鉢の紋と共に逝ってしまった。




彼岸の過ぎた、
雨上がりの夕暮れ、雑司が谷は久しぶりに美しかった。


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路地の向こうの坂をのぼっていくと、
梅に囲まれた古い洋館がある。
かつて洋館の建ち並んでいたこの辺りで、今や宣教師館と共に遺る貴重な建物。

敷石の苔があおく濡れ、梅の花びらが散らされていた。


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三角屋根に紅梅がかかる


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下から見上げると梅花の森のよう


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奥には白梅もある


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夕日に輝く

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隣の民家の生け垣は白椿だった。


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雑司が谷では、椿を生け垣にしている家がとても多い。
無粋なブロック塀で囲わずに、花の生け垣にすることが
街をほんとうに生き生きとさせている。




こちらは別の民家の白梅、青空に栄える。

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雑司ヶ谷霊園に入ると、南に面した日当たりの良い所では
既に、桜が咲いていた。

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ここの霊園は谷中などとは異なり、桜は少ないのだが、
近年、桜の若木を植えている。


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日が西に傾き、桜花も染める。


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無縁化し撤去が懸念されている
寛文年間の石仏も、未だ遺り、
夕日が後光のように射している。

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路地の上に花が懸かっている。

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梅かと思ったら、これも桜だった。

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漱石の墓石の背中も春の夕日を受けている。
『草枕』でも、読んでいそうな気配だ。


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江戸の昔から遺る霊園の屋敷林も、淡く染まっている。

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そのもとでは、
静かに彼岸のお弔いがされている。

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人は死ぬ。いつかは死ぬ。
花を愛で、美しい時を感じて、
亡くなった人を、思い出す。



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遺されたものは、イマージュという記憶でしかないのだろうか。
今ここに明らかにある現実の物質としてのもの、
手にふれる感触、
叔父の額は、既に葬儀屋により十分すぎるほど凍結され、冷たかったが、
その感触は確かに私の手に遺っている。
しかし、それも今ここから徐々に時を経れば、
ただのイマージュになっていくのだろうか。
たしかに、かき抱いた体の感触もか、、、

しかし、そのイマージュも
わたしという身体の物質が鼓動している間だけ、
私の身体に遺っているだけだ。
それが無くなった時、
そのイマージュは、どうなっていくのか。

冷たくなった私の体に、誰かが触れて
その感触を、その身体に刻んでいくのだろうか。



 「遅きうめ咲ける彼岸にきみゆきぬ」


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桜は咲き始めているのに、
今春の霊園は、野草をまだほとんど見ない。
わずかに白い小さな花が咲いていた。

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posted by 星跡堂主人 at 23:58| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑司が谷の花々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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