2015年04月20日

ローラン・プティの『こうもり』と喜歌劇『こうもり』との対照表


ローラン・プティの『こうもり』( La chauve-souris ) は、
ヨハン・シュトラウスの喜歌劇『こうもり』(Die Fledermaus )からの音楽を
主に使用しているが、ストーリーも大きく改変されているために
曲順も異なり、自由にアレンジされている。
それを分り易くするために、
バレエ『こうもり』でのストーリー展開にそって、使用された曲を表にしてみた。

喜歌劇での場面のインデックスとして
カルロス・クライバーが1986年の年末にミュンヘン・バイエルン国立歌劇場で
振った時の舞台の幕事のラップタイムを載せた。
私が使用した映像は90年代にNHKBSで放送されたものなので、
現在入手出来るDVD版とは微妙にラップが異なるかもしれない点はあしからず。
また、
バレエの方は1979年のフランス国立マルセイユバレエ団の映像に基づいている。
これは、美術はGiulio Coltellacci、衣裳はFranca Squarciapino で
簡素な新国立版とは全く違う世紀末的な美しいものだ。
演出の細部も微妙に異なっている。

オペレッタ対照表2.pdf



マルセイユバレエ(1979)の映像
・第1幕第3場 ベラとウルリックのパ・ド・ドゥ(ジジ・ジャンメール、ルイジ・ボニーノ)
http://ow.ly/LQXw2

・第1幕第4場のヨハンのソロ(デニス・ガニオ) 
https://www.youtube.com/watch?v=sPEAzPf2z3Q

・第1幕第4場のベラのソロ後半部
http://ow.ly/LQWPT

・第2幕第2場でのベラとヨハンのパ・ド・ドゥ
https://www.youtube.com/watch?v=uJBppoB94C0

・第2幕第3場の夫婦のやり取りと第4場の舞踏会(終幕)
https://www.youtube.com/watch?v=FJ9zcefUSHI

バレエ
第2幕第2場「牢獄」において唱われるセレナーデは、
喜歌劇『こうもり』でロザリンデ(妻)に懸想するテノール歌手の歌。
喜歌劇の歌詞(第1幕冒頭部)
Täubchen, das entflattert ist, stille mein Verlangen!
Täubchen, das ich oft geküßt, laß dich wieder fangen!
Täubchen, holdes Täubchen mein, komm,
o komm geschwinde; Sehnsuchtsvoll gedenk’ ich dein,
holde Rosalinde, Sehnsuchtsvoll gedenk’ ich dein,
holde Rosalinde!

第3幕冒頭部(牢獄に繋がれているアルフレートが唱う)
La donna é mobile… (イタリア語になっている)
Mein lieber Schwan...
 
仏独対訳歌詞 → http://livretpartition.com/livretopera/strauss/1.pdf
日本語翻訳歌詞(「オペラ対訳プロジェクト」)→ http://www31.atwiki.jp/oper/pages/280.html

しかし、
プティのバレエ『こうもり』では歌詞の内容が大きく変えられ、
言語もフランス語になっている。
以下ー新国立劇場バレエ『こうもり』パンフレットから
バレエ『こうもり』劇中で唱われるフランス語歌詞を引用する。
(2003年12月再演時以降のパンフレットには歌詞が載っている) 

Mon amour écoute moi
Je suis loin de toi
Mon amour écoute moi,
Écoute ma voix
C`est mon cœur c`est mon corps,
Tout deux qui t`implore,
O Bella, au prison
O ma dorce mort
O Bella, O mon démort
C`est moi qui t`adore

劇場パンフレットには日本語訳も載っているが
「バレエDVDコレクション23『こうもり』」解説(守山実花、結城美穂子)の
日本語訳の方が良いので、以下、同書から日本語訳を引用する。

「愛する人よ、聞いておくれ
 わたしは、おまえから遠く離れている
 
 愛する人よ 聞いておくれ
 わたしの声を
 わたしの心、わたしの体
 
 どちらもがおまえに訴えかける
 
 おおベラ、おおプリズン(牢獄)
 わたしの甘美な死よ
 
 おおベラ、わたしの悪魔
 わたしこそが、おまえを愛しているのだよ」


オペレッタの歌詞とは全く違う
まるで「トリスタンとイゾルデ」のような甘美な愛と死を唱っている。


参考文献
・”Roland Petit Un chorégraphe et ses peintres ” Gérard Mannoni 1990,Paris

・「ローラン・プティの『こうもり』全2幕7場」 宮沢昭男 
(『ローラン・プティのこうもり』 新国立劇場バレエ団 2002年9月初演時パンフレット 所収)
この文章は、喜歌劇との対照が分り易く書かれていて大変有益なもの。
(但し一部間違いと思われる箇所がある。)
新国立劇場HPの「こうもり」特設サイトにアップしてほしいものだが、
なぜかアップされていない。

・「バレエDVDコレクション23『こうもり』」解説(守山実花、結城美穂子) 2012年8月
2003年のミラノ・スカラ座バレエ団の映像が見られる。
 (但し劇場はミラノのアルチンボルディ劇場)
 新国立版と同じ美術と衣裳。
79年のマルセイユバレエ団の映像とは大分異なる印象を受ける。
















posted by 星跡堂主人 at 23:16| 東京 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 舞台 Theatre | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする